死因の種類


基本的な原則はなにか

 死亡の原因に記載した最下段の傷病(原死因)がなにによって生じたか、で決まります。選択はかならず1種類のみであり、複数の選択はありえません。

 

自殺や他殺は警察の判断ではないのか

その通りです。全ての外因死は異状死ですから警察が扱います。従って、外因死の場合の死因の種類は警察の判断を元に行います。

 

事故が自殺になど警察の判断が誤った場合に、医師にも責任が問われるのか

警察の指示に従って判断した場合は問われることはありません。

 

外因死の場合、死因の種類の判断は全く警察任せでよいのか

 法的な責任はとわれないにせよ、遺族からはさまざまな質問が来るでしょうし、裁判では証人に立つかもしれません。鵜呑みにせず、今一度よく考えてから判断してください。

 

トラブルは面倒なので全て「外因死」の「8.その他」で対応してよいか

 明らかに自殺や事故、の場合はいけません。

 

CT上では典型的な脳底部のくも膜下出血だが、その前に喧嘩をしているようだ

 まず異状死として警察に届け出て下さい。 死因は「くも膜下出血」でかまいませんが、死因の種類は「12.不詳の死」を選択すべきでしょう。

 

喧嘩といっても友人の話しでは口論だけであり、届け出の必要もなく、死因の種類も「1.病死」でよいのではないか

 絶対的な根拠があればかまいません。ただし、裁判証人をはじめ、さまざまな説明責任を負う可能性があることを覚悟してください。

 

過失致死や傷害致死も他殺か

 そうです。殺人と他殺は異なります。ただし交通機関による業務上過失致死の場合は「2.交通事故」です。また労災もその状況に応じた判断となります。

 

船の火災で死亡した場合はどうするのか

 交通機関の事故で死亡した場合は直接死因が何であっても「2.交通事故」を選択して下さい。車が運転を誤り川に飛び込んで運転手や乗員が溺死した場合も、ここになります。

 

遺族が気の毒なので、自殺を避けて「外因死」の「8.その他」で対応してよいか

 明らかな自殺の場合はいけません。

 

不慮の外因死の「8.その他」にはどのような場合が入るのか

 熱射病や凍死、感電、潜函病などです。

 

蜂に刺され、アナフィラキシーショックで死亡した場合は

 体質を重んじれば1.病死、蜂刺という外的要因を重んじれば外因死の「8.その他」になるでしょう。発端が蜂刺症ですので、私であれば後者を選択するでしょう。

 

この場合、保険金の支払いに影響はないのか

 私が個人的に保険会社に問い合わせたところでは、死因の種類に関係なく、災害死、として取り扱っているそうです。

 

身元は不明だが口から細小泡沫が多量に出ており、溺水は間違いないようだ

 誤って、自ら、他人により、いずれもありえますが、死体所見のみでの判断は困難です。その時点で状況が確定できない時は「11.その他及び不詳の外因」を選択するのが普通です。

 

中毒とはどのようなケースか

 不慮の外因死ですから、例えば誤って毒キノコを食べた、ふぐ料理であたった、ガスストーブのホースが外れてCOを吸引した、などです。

 

食中毒も中毒に分類されるのか

 動植物のものはそうですが、サルモネラ菌など細菌性食中毒は病死に分類されます。

 

慢性アルコール中毒はどうか

 いわゆる慢性アルコール性肝障害による死亡の場合は病死に分類されます。

 

てんかん患者が発作で入浴中溺死したり、転落で死亡した場合は

 原死因の考え方からすれば 病死 です。ただ、死体所見から発作の事実を認めることは難しく、実際には 不慮の事故として対処されていることが多いと思います。

 

遺族が、自殺から不慮の外因死に変更するよう何度も連絡してきて大変だが

 死因の種類の最終的な判断を行うのは警察であり、もし警察が訂正可能という判断をしたなら、いつでも訂正する、として、警察に任せてしまうのがよいでしょう。


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